A Proposal to the Owners

2施設シナジー強化と、
渋谷コスト構造改善のご提案

京都・渋谷の運営を続けるなか、最近2点ほど「ここをこうすればさらに良くなりそうだ」という気づきが重なってきましたので、本日はそのご相談です。2施設を静かに接続する打ち手と、渋谷で次の段階の原価最適化に挑む試み、の2点です。

Date2026年5月
§ I — Current State

4月度のご報告と、
最近のいくつかの気づき。

京都・渋谷 — 静かに対をなす2施設
Kyoto  ·  Shibuya

4月度の確定数値が出揃いました。渋谷は安定した高稼働を、京都は4月に過去最高水準の稼働率を達成しています。それぞれの方針に沿った結果が出ています。

この上で、最近ふと気づいたことがあります。京都・渋谷は同じオーナー様のもとで運営してきましたが、各OTA上ではそれぞれ独立した1物件として並んでいます。規約上やむを得ない構造ですが、ここに小さな一文を添えるだけで、2施設の認知が自然に連動し始めそうだと感じました。本日ご相談したいのは、その小さな試みです。

§ II — Booking.com 施策 第1報(京都)

Booking.com 設定見直しの、
第1報をご共有いたします。

静かに上向くデータライン
First  ·  Signal

4月15日に京都の Booking.com 設定を見直しました。手数料率の引き上げと国別10%割引の新規設定で、Airbnb 一極集中からの分散と、高単価帯チャネルでの取り込みを狙ったものです。実施から約6週間、データが溜まってきましたので、第1報として整理しました。

所感

市場の反応量そのものが増えています。Booking.com 内での露出が拡大し、京都を検討候補として認識するゲストが増えました。確定に至らないキャンセルアクションも、ゲストが一度予約に進んだ証跡として、認知の手応えを示しています。

留意事項: サンプル数(施策後43日で6件)はまだ少なく、確信度は今後1〜2ヶ月の経過で高まります。3月時点で既に増加トレンドが始まっていた可能性もあり、4月の伸びをすべて本施策に帰属させるのは慎重に見ています。

§ III — Cross-Property Synergy

2施設を静かに接続する。

宿泊のリードタイムは他業種より長く、旅行が決まる前の検討段階で認知されていなければ候補にすら入りません。「予約後の案内」「館内でのお声がけ」では間に合わない。今回ご提案する施策はいずれも、旅程の決定前にアプローチする打ち手です。

施策 A:OTA物件説明に、もう一施設の存在を添える

A · Awareness 掲載文末尾に、もう一施設の存在だけを上品に記す

OTA規約上、外部リンクや他施設URLの掲載は不可。ただし掲載文の末尾に「京都にもサウナ&スパの別荘を運営しています」といった一文を添えることは規約に抵触しません。リンクは貼れずとも、検索のきっかけ・記憶のフックを残せます。

Before — 現状
  • 各施設の掲載文は完全に独立
  • もう一施設の存在は伝わらない
  • 渋谷を検討した方が京都を知る経路はゼロ
After — 改善後
  • 掲載文末尾に一文を添える
  • 「京都にもサウナ別荘がある」が記憶に残る
  • 次回検討時、選択肢として浮上

所感: すぐ数字が動く施策ではありません。実装コストはほぼゼロ。文言ひとつで機会損失を減らせる種類のものです。最低限の整備として既に着手しています。

施策 B:サンキューメールに「秘密の合言葉」を添える

B · Referral サンキューメールを入り口に、口コミ紹介を促すクーポンを配布

チェックアウト後のサンキューメールを入り口に、口コミ紹介向けのクーポンを配布する施策です。リファラル(紹介経由予約)の獲得が狙い。

渋谷では「友人にすすめたい」と話してくださるゲストが少なくありません。満足度の高いゲストの「すすめたい気持ち」に、軽い背中押しを添えるだけで、紹介の輪が静かに広がる余地があります。

具体的にはサンキューメールに 「ご友人ご紹介の合言葉」 を1行添える。ご友人が予約時にメッセージ欄でこの合言葉を伝えると 10% OFF、というシンプルな設計です。リンクや専用URLではなく合言葉なので、ブログ・SNS・口頭と、どんな媒体でも気軽に共有できます。

三者の構図

YAMATO
  • 広告費ゼロの新規流入
  • 合言葉ベースで計測が容易
  • 高い満足度の連鎖が起点になる
紹介者
  • 大切な人に良い体験を渡せる
  • シェアの手間は合言葉だけ
  • 友人が喜ぶ姿が返ってくる
被紹介者
  • 信頼できる友人経由の安心
  • 10% OFF の実利
  • 知る人ぞ知る感覚

宿泊業として目指したい構造は、誰かが損をして誰かが得をする仕組みではなく、関わる全員が少しずつ満たされる循環です。本施策はその一例として、Win-Win-Win の関係性を素直に体現できる設計と考えています。

運用イメージ: 合言葉は永続のもの(例:YAMATO-FRIEND)でも、季節ごとに更新するもの(例:YAMATO-SUMMER)でも構いません。実施は5月後半〜6月開始、初年度の運用結果を踏まえて率や設計を見直していく想定です。専用URL方式と比べ、ブログや個人SNSでの自然な共有が広がりやすい点を重視しました。

三者が静かに重なり、中心に小さな光
Three  ·  Circles
§ IV — Linen Cost

渋谷のリネン原価
構造の見直し。

渋谷は高稼働を維持できる段階に達し、削れる費用はほぼ削り終えました。次に向き合うのが、運営の根幹であるリネンコストです。

現状認識

渋谷のリネン費は月あたり7〜9万円で推移。クリーニング外注主体、洗濯機は施設内に既設、乾燥工程のみ外部に依存している構造。ここに小さな手を加えるだけで、原価を半減できる余地があります。

施策 C:乾燥機導入による自社洗濯への段階移行

C · Phase 1 リネン類を中心に、自社洗濯への段階移行

家庭用大型ドラム式乾燥機(または小型業務用)を1台導入。リネン類(シーツ・デュベカバー)を中心に自社洗濯・乾燥に切り替え、外注と併用で量を調整します。

  • タオル類は枚数が多く、乾燥時間もかかるため全量自社化は難しい。優先順位は低め
  • シーツ・デュベなどリネン類は、うまく回せば外注比率を 半分程度まで 落とせる見立て
  • 渋谷は高稼働で連泊間のダウンタイムが少ないため、乾燥を回すタイミングは読みづらい。実運用での調整は要する
  • 清掃業者には事前相談済み。タオル畳み等の作業は受託可能。時間増分は実測のうえ清掃費を一部見直す方向で合意

いずれにせよ削減は実現できる見込みで、回収はおおよそ 1年 程度の目算です。

施策 D:シーツ・デュベカバーの段階的なポリコットン化

D · Phase 2 寝具リネンを乾きやすい混紡素材へ、計画的に切り替える

現行の綿100%シーツ・デュベカバーは、自社乾燥には不向き(乾燥時間が長く、シワも残る)。寝具リネンを自社サイクルに乗せるなら、ポリコットン(綿混紡)への素材切り替えが現実的な選択肢です。乾燥が速く、シワになりにくく、耐久性も高い素材。

他施設で同様の切り替えを担当した経験があり、運用として確実に成立します。シーツ・カバー類の新規購入が必要ですが、中長期でのコスト改善は明確です。

寝具・リネン類と顧客満足度について(業界実態の補足)

業界としては 綿100%が上質である という共通理解が長く維持されてきました。一方で、世界のラグジュアリーホテル業界の実態を見ると、純粋な綿100%よりも 綿と他素材のブレンド が主流です。

例えばマリオット系の Westin「Heavenly Bed」は、綿と TENCEL™ Lyocell(リヨセル:木材由来の高機能繊維)の310スレッドカウントブレンド を採用。マリオット・ヒルトン等の大手チェーンも、コスト管理と運用一貫性のためスタンダードでブレンド素材を使用しています。

つまり「ラグジュアリー=綿100%」は通念であって、現実にはブレンド素材で運用品質と顧客満足度を両立しているチェーンが多数派です。ポリコットンも近年は質感・触り心地ともに進化し、寝具用途で実用十分な水準に達しています。

出典:Westin / Marriott BeddingTom's GuideAmerican Blossom Linens

リネンコスト Before/After・初期投資・ロードマップ
Folded  ·  Cared
§ V — Investment & Payback

渋谷リネン施策の
投資回収シナリオ。

下記は保守的な試算です。実際には季節変動や稼働率により振れ幅がありますが、回収期間の見立てとしては妥当な水準と考えています。

初期投資

項目 内容 金額目安
乾燥機 家庭用大型ドラム式 / 小型業務用 ¥200,000 〜 ¥300,000
ポリコットン リネン一式 シーツ・デュベカバー・ピローケース ×3ローテーション ¥100,000 〜 ¥150,000
初期投資合計 約 ¥300,000 〜 ¥450,000

月次効果(保守的シナリオ)

項目 現状 施策後 削減効果
リネンクリーニング外注費 ¥80,000 ¥40,000 −¥40,000
清掃業者 作業料(増分) +¥5,000 〜 ¥10,000 +¥5,000〜10,000
水道光熱費(自社洗濯分) +¥3,000 〜 ¥5,000 +¥3,000〜5,000
月次ネット改善額 約 ¥25,000 〜 ¥30,000

回収シナリオ

初期投資 約 ¥30〜45万円 ÷ 月次改善 約 ¥2.5〜3万円 = 回収期間:おおよそ 12〜18ヶ月。年次ベースでは 約 ¥30〜40万円の継続的なコスト改善 が見込めます。これに、シーツ・デュベ全面切り替え後(Phase 2完了時)の追加効果が乗ります。

留意事項: 清掃業者様への作業時間ご相談の結果次第で、清掃費の増分はもう少し動く可能性があります。タオル段階での実測を踏まえて、Phase 2への進行判断をいたします。「いきなり全切り替え」は致しません。

§ VI — Roadmap

5月以降の進め方。

May 2026 · 今月
シナジー施策 A:OTA掲載文への姉妹施設言及(実装着手済み)
各OTAの掲載文末尾を整備。Airbnb・Booking.com・一休.com 順に展開。
May–Jun 2026
シナジー施策 B:サンキューメールにリファラル特典を組み込み
割引コード設計・メールテンプレ整備・1年運用後の効果評価KPIを設定。
Jun 2026
渋谷リネン施策 C:乾燥機選定・購入・設置/タオル類の自社洗濯トライアル開始
清掃業者様との作業時間実測。Phase 2移行可否を判定。
Aug–Sep 2026
渋谷リネン施策 D:ポリコットンリネン段階導入(順調であれば)
1ローテーション分から導入。既存綿100%品を完全に置き換えるかは、ゲスト評価を見て判断。
Q1 2027
通期効果検証 · シナジー施策の数値レビュー
リファラル経由予約件数、リネン費削減実績、姉妹施設認知の間接効果を評価。
§ VII — Next Steps

本日ご確認いただきたいこと。

  1. シナジー施策 A・B ── 実施方針への合意。Bのリファラル特典率は 10% スタート でよろしいか。
  2. 渋谷リネン施策 C ── 乾燥機購入と Phase 1(タオル)トライアル開始へのご承認。
  3. 渋谷リネン施策 D ── ポリコットン切り替えの方針合意(実施はトライアル結果を踏まえて改めて)。京都の綿100%維持は不変、という前提のご確認。
  4. リネンコスト調査 ── 2024年10月以降の急増原因について、5月27日定例にて詳細ご報告いたします。
備考: 本ご提案の数値は、4月度確定値と運営チームの現場知見に基づいています。ROI試算は保守的な前提を採っていますが、実際の運用結果は前提条件によって変動いたします。Phase毎にレビューを設け、ご報告いたします。